2022/12/24
レゴ®シリアスプレイ®研修は誰にでもできる?
レゴ®シリアスプレイ®研修運営は認定ファシリテーターしか出来ない事になっていますが、 一見すると、簡単そうで誰にでも出来そうに見えます。
確かに、「楽しいだけの研修」は出来るかもしれません。
しかし、「楽しくて気づきのある研修」の実現は なかなか難しいものです。
個人的な感覚では、 レゴ®シリアスプレイ®のファシリテーター資格を 取得したとしても、それはスタートラインに立っただけ。
数日間のファシリテーター養成を受講したとしても 「理論を頭で理解する」と「実際に出来る」は、やはり違うのです。
ファシリテーターとして、場数を確保し、 PDCAを回して研鑽を続けないとやはり技量は伸びません。
よく、「とにかく100回現場をこなせ!」なんて言われますが、 00回やって初めて、その意味が分かったりもするものです。
さて、今日は一見誰にでも運営できそうなレゴ®シリアスプレイ®研修。 実はこんなことにも気を使いながら、 研修やワークショップ運営を行っているんだよ、という点をご紹介します。
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ファシリテーターの想定外
意外とレゴにハードルを感じる人もいる
レゴ®シリアスプレイ®のファシリテーター資格を取る方は 基本的に皆さん、この手法にほれ込んでおり、レゴも大好き。
自分が好きだから、きっとみんなも大好き!
・・・なんて思っている方も多かったりするのですが、
「今までレゴブロックに触ったことがない」
「小さい頃欲しくてたまらなかったけど、買ってもらえなかった」
と言う参加者の方も、もちろん一定数いらっしゃいます。
そんな方は、心の中で「みんな、馴染み深い感じだけど、 レゴに初めて触る私は今日の研修、大丈夫かな?」と 不安に感じたりもしています。
研修やワークショップでは必ず、そんな不安を払しょくし、 “全員参加できる”状況つくりから始めます。
「レゴはみんなやったこと=楽しいに決まってる」
そんな想い込みが、誰かを不安にさせてしまったり、 疎外感を味わせることにもなってしまうのです。
対応策として、 毎回必ず丁寧なスキルビルディング(₌練習)で レゴブロックに馴染んで頂くことから始めていきます。
もちろん、スキルビルディングは ファシリテーター養成研修でも学ぶのですが、 参加者属性や状況によって、方法や順番を適切に選択し みんなが同じスタートラインに立てるように、 十分な準備運動の時間を設けることが思いのほか重要なのです。
「考えずに手を動かす」が出来ない人もする
レゴ®シリアスプレイ®メソッドの重要なキーワードの一つが 「手を信じる」です。
レゴ®シリアスプレイ®は、作品テーマをイメージしながら、 「考えずに手を動かす」ことで、潜在意識を呼び起こし、 深い気づきや発見が得られるのですが、
なかには、「何も考えないで手を動かすなんて無理!」 と拒否反応を示す方もいます。
個人的な感覚として、やはり真面目な方ほど、 そういった反応を示す方が多いと感じます。
そういった方には、「何も考えない」がストレスにも つながるため、きちんと背景や理由をお伝えするとともに 「”なるべく”考えずに取り組んでみてください」とお伝えします。
何も考えずにやろうとして上手くいかなくなるくらいなら、 ちょっとくらい考えながらやっても、研修成果を感じ取って 頂けた方がよいというのが私の考えです。
ファシリテーターの対応力
他人との比較をしてしまう
実は、研修運営上、 これがいちばん大きなポイントだったりします。
レゴ®シリアスプレイ®は、自分と他人の作品を見比べ、 「自分らしさに気づく」「他人の特徴に気づく」という 相互理解の促進にも役立ちます。
しかし同時に、比較⇒評価を行ってしまうケースも 起こり得ます。
「自分の作品はシンプルすぎて良くない」
「自分の作品は小ぢんまりとしていてつまらない」
「自分の作品は配色が暗くて、陰鬱な感じ」 ・・・etc
違いを把握し、特徴把握することは良い事ですが、 優劣までつけてしまう方が一定数いらっしゃいます。
言わずもがな、 優劣をつけるために行っている研修ではありません。
しかし、無意識に参加者の一部はそのように 思考してしまうのです。
ですから、ファシリテーターは優劣評価を防ぐために、 要所要所で意識付けや注意喚起を行います。
私の場合は、「違いを楽しむ」を研修テーマの一つに掲げ しつこいくらいに、これを参加者の方に繰り返しお伝えします。
他人と自分の作品を比べ、それぞれの違いを楽しむ。
シンプルなのか、複雑なのか 拡がりがある作品なのか、そうでないのか、 配色が多彩なのか、基調色が定まっているのか
良し悪しじゃなくて、ただ違いを楽しむ。 すごく簡単なようで、この意識を疎かにすると レゴ®シリアスプレイ®の提供価値を狭めてしまうのです。
グループの中で問いが生まれず、議論が活性化しない
作品作りは面白いですし、作品紹介も積極的に行う方が多い一方、 他人の作品に関する質問をお願いすると、沈黙してしまうグループもあります。
本来は、メンバー同士の質問によって新たな気づきや発見、学びが生まれ、 研修やワークショップの効果が高まるのですが、 なかなか質問の切り口・簡単を見つけ出すのに苦労する場合もあります。
そんなとき、予め参加者属性から状況を予測し、 質問集を用意したり、観点を提示したり、適切にハードルを下げる工夫も ファシリテーターに求められます。
ここら辺のさじ加減も、ファシリテーターの経験や引き出しに左右されます。
ただ、レゴブロックで研修をやっているように見えて、 説明順序やワークの組み方にも細やかな工夫を入れています。
誰にでも出来そうで、実は難しい。
そんな側面を少しでもご理解いただけると幸いです。