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2023/05/18

チームビルディング研修とは?目的、メリット、おすすめ5選も紹介

このコラムではチームビルディング研修の目的・おすすめの研修事例5選を紹介します。

また、研修を成功させる3つのポイントや、コロナ禍における活用についても説明します。

この記事で、チームビルディング研修のコツをまるっと理解しましょう。

チームビルディングとは

チームビルディングとは、組織のメンバーが目的達成のために段階を経て成長、進化して一つのチームをつくる過程のことを言います。

良いチームビルディングとはすなわち、良いチーム(目的達成のために効率的で生産的に機能するチーム)を作りあげるための一連のプロセスを表しています。

よく実施される手法としては、ゲームや課題、コミュニケーションを促進するためのワークショップなどを通して、モチベーションや生産性を向上させたり、連携を強化する取組があります。

チームビルディング研修のゴール・目的は?

チームビルディング研修を実施する目的は主に以下の2点があります。

  1. チーム全員が参加する場合:チームの活性化や信頼関係の構築すること
  2. チームリーダーのみが参加する場合:チームビルディングの考え方を理解し、実践手法を習得すること

それぞれの研修の目的に合わせて、座学と実践を組み合わせてプログラムを構築することが大切です。

具体的な手法としては、テーマを決めてチームで発表やプレゼンテーションを実施する従来のグループワークが想像しやすいですが、近年は、ゲーム、エクササイズ、アウトドアアクティビティなど普段の業務とは全く異なる環境で行う手法も活用されています。

コロナ禍における組織・チームの課題

お問合せ頂く人事部や経営企画部、経営者の方々のお話を伺うと、組織内で抱えている様々な課題に対処しようとしてチームビルディング研修を検討しています。

具体的なお悩みとしては以下の3つが代表的です。

課題①:コミュニケーションの希薄化

コロナ禍でリモートワークが増え、飲み会はおろか直接顔を合わす機会もなくなったことで、社員同士のコミュニケーションが希薄化しています。リモートワークが始まったばかりのころは、雑談によるコミュニケーションの現象が話題になりました。

現在コロナ禍から3年以上がたち、組織変更や異動、新人や中途入社の増加などで職場のメンバー構成も変化しているため、同じ部署に所属していても、お互いのことをよく知らず、実際を顔を合わせた時ですら、雑談が生まれない、という悩みもよく聞きます。

課題②:社員のモチベーションの低下

コロナ禍によりリモートワークが増えたことなど、メンバー同士の物理的な距離ができてしまっていることが、社員のモチベーション低下の大きな要因となっています。

例えば、オフィスにいれば、仕事の成果を周りのメンバーが一緒に喜んでくれたり、クライアントを訪問した際の何気ないフィードバックなどで充実感や達成感を感じたりできます。

しかし、リモートワークでは、物理的な距離があるためコミュニケーションが希薄化し、周りのメンバーからのフィードバックが少なくなり、孤独感や不安感を感じやすくなります。

このような状態が続くことで、社員のモチベーションが徐々に低下し、職場の生産性が下がってしまいます。

課題③:社員の退職、休職による会社負担の増加

コロナ禍でリモートワークが増え、適切なフィードバックの頻度が低下していることで、「私はこのままで大丈夫なのか」、「周りの同期から取り残されているんじゃないか」、という漠然とした不安を持つ社員が増えているという声も増えています。

実際に、経済協力開発機構(OECD)が2021年に公表したレポートによると、新型コロナウイルス危機が始まって以来、精神的苦痛のレベルが特に若者の間で急激に高まっており、一部の国々では不安と鬱を訴える人々は2倍に増加しているとのことです。

これは社員一人一人の悩みというだけではなく、会社としての課題です。

なぜならば、社員の退職、休職は会社に大きな影響をもたらすからです。例えば、年収350万円の社員が休職した場合、会社の負担コストは約1,500万円近いという次のような試算結果もあります。

会社負担コスト.png

チームビルディング研修のメリット・効果

上記のようなコロナ禍の課題の高まりもあり、様々な会社でチームビルディング研修の需要が高まっています。

具体的には、チームビルディング研修には、以下のような効果が期待されています。

  • 組織コミュニケーションの円滑化
  • お互いの信頼関係の構築
  • ビジョン、ミッションの浸透
  • モチベーションアップ

チームビルディングの理論「タックマンモデル」とは?

Tuckman model (タックマンモデル) は、チームビルディングのチームの一連のプロセスを表す理論の1つです。

これは、Bruce Tuckman が1965年に提唱したもので、チームの進化過程を形成期(Forming)・混乱期(Storming)・統一期(Norming)・機能期(Performing)・散会期(Adjourning)の5つの段階に分類します。

それぞれのステップには特徴的な特性があり、チームがそれらのステップを経て成長していくことを示しています。

形成期(Forming)とは?

「形成」とは、チームが結成される最初の段階のことを指します。

この段階では、チームメンバーは、お互いに自己紹介をし、共通の目標や目的を共有し、チームの趣旨や役割を理解します。

この段階では、チームメンバーは、お互いを信頼し、支援し合う関係を構築するために努力します。また、チームのリーダーシップや決定メカニズムも決まり始めます。

混乱期(Storming)とは?

混乱期(Storming)とは、チームが形成期を終え、共通の目標や目的を共有し始める段階のことを指します。

この段階では、チームメンバーは、それぞれの個性やアイデアを発揮し始め、チームの中で立場や意見が異なるために、チームの中で議論や論争が起こり始めます。

また、チームの中で信頼やコミュニケーションが低下し、チーム全体のパフォーマンスが低下することも考えられます。

統一期(Norming)とは?

統一期(Norming)とは、チームが混乱期(Storming)の段階を乗り越え、共通の目標や目的を共有し、チームメンバー間の信頼やコミュニケーションを改善し始める段階のことを指します。

この段階では、チームメンバーは、お互いのアイデアや意見を受け入れ、協力し合うことで、チーム全体のパフォーマンスを向上させるために努力します。

チームの中で共通のルールやプロセスが確立され、コミュニケーションや協力関係が改善します。

機能期(Performing)とは?

機能期(Performing)とは、チームが統一期(Norming)以前の各ステップを乗り越え、目標の達成に向けて協力し合って仕事を行う段階のことを指します。

チーム全体が共通の目標に向けて協力し合って、高いパフォーマンスを発揮できるようになっています。

チームの中でのコミュニケーションや協力が円滑に進むため、チームのリーダーシップや決定メカニズムもスムーズに機能し、チーム全体のパフォーマンスが最高水準に達します。

チームビルディングの方法・具体例 おすすめ5選

おすすめのチームビルディング研修を具体的に紹介していきます。各研修の特徴・参加想定人数・金額感・プログラムなども参考にしてみてください。

レゴ・シリアスプレイ

レゴシリアスプレイ.png

レゴシリアスプレイは、与えられたお題をレゴブロックを使って事由に表現し、自身が作成した完成品にストーリーを付けて話をすることで内側の価値観を引き出す手法です。

<特徴>

遊び感覚で夢中で取り組めるだけではなく、参加者の潜在意識、価値観を引き出すことができたり、質疑応答のセッションで聞き手の能力も高める効果も期待できることが特徴です。

最近では、2022年5月にテレビ東京のビジネス番組「カンブリア宮殿」の【進化を止めないレゴ!大人戦略で大躍進の裏側】にて、取り上げられ話題になりました。

そのほか、google、トヨタ、メルカリなどの名だたる有名企業にて社内研修として活用されていることもレゴシリアスプレイに注目が集まっている要因です。

参考: レゴ(R)で思考が丸わかり? メルペイPRメンバーでチームビルディングをしたよ

<プログラム例>

  • イントロダクション 10分
  • レゴ制作タイム 5分
  • ストーリーテリング&質疑応答 5-10分 ×参加者数
  • 共有モデルの制作、チーム内のまとめ 5分
  • 全体共有、発表(必要に応じて)10分
  • クロージング 5分

<参考>

レゴシリアスプレイ|LSP Coaching

https://lspcoaching.com/service/

屋外キャンプ

キャンプ.jpg

屋外キャンプによるチームビルディング研修は、最近のキャンプ人気も相まって、野外アクティビティの中でも最も人気のアクティビティの一つです。

<特徴>

非日常な空間で同じ時間や体験を共有することで、人間関係を構築できることが特徴です。

体を動かすアクティビティだからこそ、テキストや口頭でのやりとりを超えてコミュニケーションが図れることも期待されています。

<プログラム例>

  • テント設営
  • アウトドア会議
  • BBQ
  • 焚火トーク

<参考>

アウトドア研修サービス概要|スノーピーク

https://snowpeak-bs.co.jp/solution/human/training

NASAゲーム

nasa.jpg

NASAゲームは複数人で意見の統一を図る、いわゆるコンセンサスゲームの一種です。

仮定上の状況である月面不時着事故において、生き残るために必要な15のアイテムを優先度の高い順に選択するゲームで、NASAが宇宙飛行士の採用試験のために作成したものです。

<特徴>

実際にゲームをしてみると、各アイテムに対する重要度の考え方において、個人の価値観や解釈が色濃く表れ、チーム内の意見の食い違いが生じます。

その上で、異なる意見や価値観を尊重しつつ、明確な理由をもって優先度を決めることが求められるため、コミュニケーション能力の向上、チームワークの向上が期待できます。

<プログラム例>

  • ルール説明(約5分)
  • 個人ワーク(約10-15分)
  • グループワーク(15-30分実施)
  • 答え合わせ(約10分)
  • 振り返り(約10-15分)

<参考>

NASAゲーム実施の流れ|株式会社ハートクエイク

https://heart-quake.com/article.php?p=2264

ペーパータワー

ペーパータワー.jpg

ペーパータワーはチームビルディング研修でよく使われるゲームの一つです。

数人がチームになり、新聞紙やコピー用紙などの紙を丸めたり折り曲げたりして積み上げ、塔を作ります。

与えられた時間内に最も高い塔を完成させたチームが優勝となります。

<特徴>

非常に手軽に身の回りの材料で取り組める気軽さが特徴です。

与えられた時間内にメンバー同士が協力し合うことが求められるため、チームワークを醸成することができます。

また、ゲームの中で自然に創意工夫の発信や、意見交換などのコミュケーションが生まれるため、初期のチームビルディングには最適です。

<参考>

ペーパータワー|ピポラボ

https://www.cydas.com/peoplelabo/wil_tower/

<プログラム例>

  • 作戦タイム 5分間
  • 組み立てタイム 5分間
  • 終了し、手を放して計測する 5分間
  • 優勝チームの発表

トリセツワークショップ

トリセツ.jpg

トリセツワークショップは、各自が自分の取扱説明書(トリセツシート)を作成し、発表し合うワークショップです。

トリセツシートには様々なものがありますが、自分のこれまでの経験や趣味特技、性格、得手不得手などを記載するものが一般的です。

<特徴>

ワークショップの目的は、他のメンバーに自分自身を理解してもらうことです。

自己開示が苦手な人でも、トリセツシートを使用することで、詳細な自己開示が可能になることが本研修の特徴です。

また、トリセツシートを作成する過程で自己分析が深まり、自身の価値観等が整理できることもメリットです。

<プログラム例>

  • トリセツシートの説明 10分
  • 各自記入 30分
  • グループ内で共有 20分

チームビルディング研修を成功させる3つのポイント

チームビルディングで最も重要なポイント「形成期」

チームビルディングの考え方についてタックマンモデルを紹介しましたが、その中でも一番大切なステップは形成期です。ここで共通の目標や目的を共有し、チームの趣旨や役割を理解し合ったかどうかが後々のステップに大きく影響します。

形成期に、チーム内で以下が達成できるように取り組みましょう。

  1. チームの共通の目的や価値観を確立する
  2. チームのミッションや目標を明確にする
  3. チームメンバー同士の信頼を確立する

これらはチームビルディングを次のステップに進め、チームのミッションを成功に導く上で重要な役割を担います。

チームの成長段階、研修目的に沿った設計をすること

研修やワークショップを企画する際には、チームがどのような成長段階にいるのか、研修を通してチームにどのような効果をもたらしたいかをイメージしながら検討する必要があります。

なぜなら、本記事で紹介した具体的なチームビルディング手法は、それぞれ期待される効果が異なるからです。

たとえば、形成期にはチームメンバーの共通の目標や目的を共有し、チームの趣旨や役割を理解し合うことが必要ですが、このフェイズで単純にBBQをしても当たり障りない会話が行われるくらいで目標や目的の共有にはつながりません。

一方で、成長段階の後半の統一期や機能期においては、既にチーム内の信頼関係は形成されており、アクティブに活動している時期です。

このフェイズにおいては、チームのビジョンの解像度を高める研修や、チームのマンネリ化や馴れ合いを防ぐためのアクティビティが有効です。

レゴ®シリアスプレイ®のように、どのようフェイズであっても対応可能なメソッドもありますが、研修企画段階でチームの成長段階を研修会社ときちんとすり合わせ、目的やねらいを正しく定めないと効果的な研修は実現しません。

効果を最大化するためのファシリテーション

さて、チームの成長段階と、どのような効果をもたらしたいかをしっかりと整理して、適切な研修を企画したとしても、その研修の効果を最大限発揮できるかは当日のファシリテーションにかかっています。

ファシリテーションはただの司会進行、タイムキーパーではありません。特に注意すべき重要なポイントは以下の3つです。

  1. 研修の目的とゴールを参加者にしっかりと理解してもらうこと
  2. 参加者が安心して発言、行動できる環境を整えること
  3. その場に応じて適切なアドバイスやヒントを出して研修を活性化すること

同じメソッドや手法を用いた研修であっても、「長くて退屈だった」というマイナス評価が目立つこともあれば、「あっという間で学びが多かった」という感想が溢れることもあります。ファシリテーションの巧拙は、研修の仕上がりを大きく左右させます。

レゴシリアスプレイがチームビルディング研修におすすめな理由

レゴシリアスプレイは、与えられたお題をレゴブロックを使って事由に表現し、自身が作成した完成品にストーリーを付けて話をすることで内側の価値観を引き出す手法です。

レゴシリアスプレイは、以下のような特徴があり、チームビルディング研修におすすめです。

全員参加型の研修ができる フロー状態になることで気付きや学びが深まる 他者を理解する気持ちが生まれる

また、チームビルディング研修で求められている4つの効果を期待できます。

  • 効果1:組織コミュニケーションの円滑化
  • 効果2:互いの信頼関係の構築
  • 効果3:ビジョン、ミッションの浸透
  • 効果4:モチベーションアップ

コミュニケーションの円滑化

レゴシリアスプレイは、作品作りと質疑応答を通して、お互いの価値観を認識しあうことに優れたワークショップです。

なぜならば、完成したレゴ作品に対して周りの参加者が質問をしていきますが、直接発表者に質問をするのではなく、作品に対しての質問をしますのでワンクッション置いたコミュニケーションとなり想いやコメントを引き出しやすくなるからです。

発表者も、自身の意見や価値観を話す際に、レゴを媒介とすることで客観的な視点で語ることができ、恥ずかしさや堅苦しさがなく意見を述べやすくなります。

上記を通して、お互いの価値観を認識しあうことが、普段のコミュニケーションを円滑にする上で非常に大切な要素となります。

お互いの信頼関係の構築

レゴシリアスプレイは自身の価値観を一方的に語って終わりではなく、参加者同士で質疑を行うことで発表者の思考を深堀し、更に気づきを深めることが出来ます。

その際、以下の点に注意をして質疑をすることで、お互いの信頼関係を形成することができます。

  1. 制作された作品に対する質問をすること
  2. 発表者の価値観やアイデアを尊重し、否定しないこと
  3. お互いの良いところ、強みに着目し、承認し合うこと
  4. 効果的に「遊び」の要素を盛り込み、楽しく主体的に学ぶを作り出すこと

ただし、上記を実践するのはなかなか難しいため、レゴシリアスプレイを通してチームメンバー同士の信頼を確立するには、研修講師のファシリテーションが非常に重要になります。

ビジョン、ミッションの浸透

チームの共通の目的や価値観を確立する上でレゴシリアスプレイが優れている点は、参加者全員がそれぞれの価値観を認め合いながら進められるという点です。

例えば、「3年後に目指したいチームの姿」を個々で作り、それを持ち寄って、みんなでストーリーを考え議論しながら、一つの作品作りをします。

ブレインストーミングや一般的なディスカッションであれば、様々な意見を出した上で一つに絞っていくプロセスが取られますが、レゴシリアスプレイでは、それぞれのパーツを組み合わせて全員で作り上げるのです。

ビジョンやコンセプト、目標を議論する際、一部の人だけで盛り上がり、声の小さい人、発言しない人の意見が組み込まれずに議論が進んでしまうケースがよくあります。

しかし、レゴシリアスプレイでは全員参加型の議論・検討が実現します。

モチベーションアップ

レゴシリアスプレイがチームメンバーのモチベーションアップにつながるのは、レゴシリアスプレイが発表者を肯定的に”褒める”ことを基本ルールとしているからです。

心理的安全性を確保した環境での発言とフィードバックを繰り返すことで自己肯定感が高まります。

実際に、研修の参加者からの感想で「社会人になって久しぶりに褒められて嬉しかった」という声は非常に多いです。

特に、中間管理職となると、褒められる機会は極端に減り、時期によって自己肯定感が低くなってしまうというのは、どの会社でも現実に起きているようです。

また、コロナ禍によりリモートワークが増えたことで、フィードバックの機会が減ったことやフィードバックがテキスト中心になり、感情が伝わりにくくなっていることも課題です。

レゴシリアスプレイを通して、褒める、褒められるというコミュニケーションの成功体験を得て、普段のコミュニケーションでもチームメンバーが心理的安全性を感じることができれば、モチベーションの維持が期待できます。