2025/07/12
社員の対話が変わる、組織の空気が変わる――レゴ®を用いた研修で生まれたリアルな成果とは?」
「組織にもっと“対話”が必要だと思っている」 「心理的安全性やチームのつながりを深めたい」 そんな想いを抱える企業の人事担当者の方へ。
近年注目を集めている「レゴ®シリアスプレイ®メソッドと教材を活用した研修・ワークショップ」というユニークな研修手法をご存じでしょうか? レゴ®ブロックを使って“手で考え、形で語る”この研修は、単なるアイスブレイクではなく、組織の対話の質を変え、個人とチームの関係性を深くつなぐ実践的アプローチです。 本記事では、実際の参加者アンケートや導入企業の事例をもとに、LSP研修の特徴・効果・活用ポイントをわかりやすく解説します。「本音が語られる職場をつくりたい」「エンゲージメントを高めたい」――そんな組織づくりのヒントを、ぜひこの機会にお持ち帰りください。
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はじめに――レゴ®ブロックで研修?と驚く人事担当者へ
「レゴ®を使った企業研修があるんですよ。」
そう耳にしたとき、多くの人事担当者が首をかしげるのではないでしょうか。「レゴ®って、あのブロック?」「まさか、子ども向けのおもちゃが研修に?」と――。

しかし、このレゴ®を用いた「LEGO® SERIOUS PLAY®(レゴ・シリアスプレイ)メソッドと教材を活用した研修・ワークショップ(以下、LSP)」 は、いま企業の人材育成・組織開発の現場で静かなブームを巻き起こしています。しかも、ただの一過性の流行ではありません。経営企画や組織改革、チームビルディング、心理的安全性の向上といった“経営の本質課題”に、本気でアプローチできる方法として注目されているのです。
特に2020年以降、リモートワークの常態化やエンゲージメントの低下、人間関係の希薄化といった課題が、企業のあらゆる部署で顕在化してきました。新入社員がなかなか組織に馴染めない、中堅社員がモチベーションを失っている、管理職同士の連携がうまくいかない……。こうした人と組織の課題に対して、「まず対話から始めよう」「互いを知ることから始めよう」という流れが生まれています。
LSPは、その「対話」を 誰でも自然に引き出せる、非常にユニークかつ実践的なメソッド です。人前で話すのが苦手な人も、ふだん口を閉ざしがちな人も、レゴを通じて自分の考えを「作品」として可視化し、それを通じて語り合い、他者とつながる――。
実際の研修参加者からは 「これまでにないほど打ち解けられた」「レゴ®が会話のハードルを下げてくれた」「初対面の人とも深く話せた」 といった声が多く寄せられています。
この記事では、LSP研修の特徴、具体的な実施内容、参加者のリアルな声、そして導入の際のポイントまで、企業研修担当者の目線でわかりやすく解説します。最後までお読みいただければ、「なぜいま、LSPが選ばれているのか」 が明確になるはずです。
LEGO® SERIOUS PLAY®とは何か?

しかし、この「レゴ®シリアスプレイ®メソッドと教材を活用した研修・ワークショップ(以下、LSP)」 は、ただの“レゴを使った遊び”ではありません。実はレゴ社自身が経営危機に陥った2000年代初頭、企業再生の一手としてスイスのビジネススクールIMDと共同開発した、れっきとしたビジネス研修メソッドなのです。
理論に基づいた“手で考える”メソッド
LSPの基盤には、MITの教育学者シーモア・パパートが提唱した「コンストラクショニズム」の理論があります。「人はモノを作りながら考えることで、より深い学びと気づきを得る」というこの考え方は、特に“言語化が難しい感情や価値観”を可視化・共有するのに効果的です。
また、心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー理論」も応用されています。適度な挑戦と没入感のある環境をつくることで、参加者は高い集中状態に入り、普段以上の思考・発想が自然と引き出されるのです。
LSPの基本ステップ
LSPでは、以下のような流れでワークショップが進行します:
①お題の提示:
「私の強み/弱み」「理想のチーム」「10年後のビジョン」など、ビジネス文脈に即した、ほどよく抽象度の高く重要だけれど緊急性の低いテーマ設定がおススメです。
②作品制作:
手を動かしながら直感的にブロックを組み立てます。なるべく考えず、「なんとなく」作業に没頭することがここでは大切になります。そうすることで潜在意識を可視化します。
③発表と質問:
作品を見せながら説明し、他者からの問いを通じて自分の思考をさらに深めます。コーチングアプローチにも似た効果が発揮されます。
この一連のプロセスのなかで、「対話のきっかけが生まれる」「他者の見方に気づける」「自分でも意識していなかった価値観に出会う」といった経験が、参加者のなかに自然に生まれます。
「レゴだからこそ話せること」がある
LSPの大きな特徴は、「作品が自分の代弁者になる」という点にあります。たとえば、「いまの職場にモヤモヤを感じている」と言葉にするのは難しくても、モヤモヤを表す“曇ったような形”を作品にすれば、それを起点に話せるのです。
さらに、自分の作品に愛着を感じ、相手の作品に興味を持つようになることで、チーム内に自然と“聴く文化”が生まれます。「話したくなる」「聴きたくなる」という感情が、職場での対話の質を変えていくのです。
実際の研修フローと工夫
では、LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)の研修は、実際にどのように進行するのでしょうか。参加者の心を開き、チームとしての一体感を醸成するまでのステップには、細やかな設計と仕掛けが詰まっています。

ウォーミングアップで「レゴに慣れる」「語ることに慣れる」
LSPは、いきなり「10年後のビジョンをレゴで表現してください」といったお題から始めることはありません。研修冒頭では「タワーを作る」「赤いブロックから連想するものを表現する」などの簡単なワークを通じて、まずは“レゴに触れる”という感覚を思い出してもらいます。
このステップは、レゴへの苦手意識や「うまく作れないかもしれない」という不安を和らげる大切な時間です。また、作ったものを説明する「言語化の練習」にもなり、研修全体の成果に直結する準備フェーズとなっています。
個人ワーク:作品に想いを込め、自分を語る
ウォーミングアップを終えたら、本題のお題に入ります。「理想のチーム」「現在の私」「組織の未来」など、企業の課題や目的に応じてテーマが設定され、参加者一人ひとりがそれをレゴで表現します。
作品の完成後には、その背景や意図について共有を行います。特にLSPでは、発表のあとに必ず「質疑応答」の時間を設けます。他の参加者が質問することで、本人の中でも気づいていなかった思考の深層にアクセスし、自己理解が一段と深まります。
「後付けの説明でも、それが潜在意識の現れだと気づきました」
「思ってもいなかった感情を、仲間の質問で引き出されました」
――こうした声は、参加者アンケートでも数多く寄せられています。
グループワーク:共創によって、チームが動き出す
次に、個人作品を持ち寄り、チームとして「理想の姿」や「共通の目標」を形にするグループワークに入ります。このプロセスでは、お互いの個性や視点の違いを尊重しながら、議論と創作を通じてひとつのアウトプットを仕上げていきます。
特に印象的なのは、「全員参画で熱心な議論が生まれる」こと。誰か一人が話すのではなく、全員が議論に加わり、それぞれの考えや想いを込めて作品を作り上げ、短時間でチームとして機能し始める様子に、企業の担当者も驚かれることが多いです。
LSP+αの工夫で、学びを定着させる
LSPは単体でも強力なメソッドですが、当社では「ポジティブフィードバックセッション」や「行動計画シート」など、研修効果をより高める仕掛けを併用しています。
たとえば「ポジティブフィードバックセッション」では、参加者が互いの良さをフィードバックし合い、心理的安全性と承認の文化を醸成します。「久しぶりに褒められて素直に嬉しかった」「承認がチームの力になる」といった声も多数あり、エンゲージメント向上に直結する手応えを感じていただけるセッションです。
参加者のリアルな声――アンケートで見えた5つの効果
LEGO®︎ SERIOUS PLAY®︎メソッドと教材を活用した研修・ワークショップが他の研修と明らかに異なるのは、参加者の「満足度」や「実感」に直結する“体感的な学び”がある点です。 実際に当社がこれまで実施してきたLSP研修では、数百名以上の参加者からアンケートを収集しており、そのなかには多くの「気づき」や「変化」が記されています。ここでは、それらの声をもとにLSPの効果を5つに整理してご紹介します。

【効果1】“見えない個性”が可視化され、相互理解が一気に深まる
LSP研修の最大の特徴の一つは、「ふだん見えにくい個々人の内面や価値観を、作品を通じて可視化できること」 です。
通常の研修やミーティングでは、発言力のある人だけが目立ってしまったり、発言に慎重になるあまり、個々人が考えていること、思っていることが発言につながらないケースも少なくありません。特に日本企業においては「空気を読む」「和を乱さない」といった文化の中で、本音の共有が難しいという課題を多くの現場が抱えています。
しかし、LSPでは「レゴ®作品」 が発言の媒介になります。 参加者は「理想の職場」「自分の強み」「現在の自分」などのテーマに対して、頭で考えたことをそのまま言葉にするのではなく、“手で形にして”表現します。そして完成した作品について「なぜこの形にしたのか」「どんな意味を込めたのか」を自分の言葉で語っていきます。
このとき、多くの参加者が「思いがけない自分の価値観に気づいた」と語ります。 さらに、他の参加者の作品を見ることで「こんな見方があるのか」「あの人にはこういう大切な軸があったんだ」と、驚きと納得をもって相互理解が進んでいきます。
「他のメンバーが作ったレゴ作品を見て、あの人の“らしさ”が見えた気がしました」
「同じテーマでも、全然違う作品ができることが面白かったし、だからこそ深い対話ができた」
また、レゴの表現には“正解”がないため、上下関係や年齢差の影響を受けにくく、フラットな関係性で意見を交わすことができます。 これにより、普段あまり話さない人や発言に自信がない人でも、自分の思いを自然に語れるようになり、結果としてチーム内での「理解」と「信頼」が急速に深まるのです。
【効果2】“心理的安全性”が自然に育つ
「心理的安全性」 という言葉は近年、多くの企業で注目されているキーワードです。Googleの研究でも「チームの生産性を高める最重要要素」とされるこの概念は、「自分の意見を否定される心配なく、安心して発言・行動できる環境」を意味します。
しかし、実際にこの状態を職場で作り出すのは簡単ではありません。特に、異なる部署同士や初対面のメンバーが集まる場では、どうしても遠慮や緊張が生じ、表面的な会話に終始しがちです。
レゴ®シリアスプレイ®研修が真価を発揮するのは、まさにこうした“心の壁”を自然に取り払う点にあります。 参加者は、自分の考えや気持ちを直接話すのではなく、まず“レゴ作品”という間接的な手段を通して表現します。そのため、自己開示のハードルが大きく下がるのです。
ある参加者はこう語っています:
「ふだんあまり接点のない人とも、作品を通じて自然に会話ができた。直接“話す”よりも、作品が会話をつなげてくれた」
レゴが“共通の話題”や“対話のきっかけ”を提供することで、沈黙が減り、笑顔が増え、やがてチーム全体に安心感が広がっていきます。さらに、各自の作品が尊重されることで「自分の考えを受け入れてもらえた」という感覚が生まれ、参加者は徐々に“本音”を語り始めるようになります。
「仕事のときよりも、自然体で人と接することができた」
「話すことに慣れていないメンバーも、自分の作品についてなら積極的に話していた」
このように、LSPは「心理的安全性をつくり出す仕掛け」があらかじめ設計された研修であり、短時間でも驚くほどフラットな関係性が築かれるのが特徴です。これは、リモートワークや縦割り組織で生まれた“コミュニケーションの空白”を埋め直すのにも、非常に有効な手法といえるでしょう。
【効果3】「褒め合い」文化がエンゲージメントを高める
当社クック・ビジネスラボが提供する、オリジナルLSP研修のもう一つの大きな特徴が、「ポジティブフィードバックセッション」です。これは、レゴ作品の発表を終えたあとに、参加者同士が互いの“良いところ”や“貢献”を言語化して伝え合う時間です。
このセッションの目的は明確です――
それは、「承認の文化」を職場に根づかせること。
職場で褒める文化が乏しい企業は少なくありません。「これくらいやって当然」「出来ていないことばかり気にしあっている」「恥ずかしい」「わざとらしい」「お世辞に聞こえる」といった理由で、日頃からポジティブな言葉をかけ合う習慣が根づいていないケースが多いのです。しかし、承認される経験が人のモチベーションや自己肯定感を高め、組織へのエンゲージメント(帰属意識)を強化することは、心理学的にも広く証明されています。
LSP研修では、「ポジティブフィードバックセッション = 褒め合いワーク」を通じてこれを実感として体験してもらいます。
「日ごろ褒められることが少ないから、すごく嬉しかった」
「人の良いところを探して言葉にすることで、自分の視点もポジティブになった」
「褒められたとき、自分はこのチームの一員だと強く感じた」
特に印象的なのは、参加者が自然と笑顔になっていく場面です。最初は照れ笑いだった表情が、だんだんと誇らしげな笑顔に変わり、場の空気が温かくなる――この瞬間に立ち会った企業担当者は、「こんなに効果があるとは思わなかった」と感動を口にされます。
また、このセッションは単に「仲良くなる」ことが目的ではありません。 “互いの良さを言葉にする”という行為そのものが、対話の質を変え、信頼関係を築き、仕事上の連携力を向上させるのです。ある管理職の方は次のように語っています:
「部下の強みを改めて認識できた。これまでは“できて当然”と思っていたが、こうして言葉にすると自分の評価も変わった」
つまり、褒め合い文化の導入は、評価と承認の質を高め、上司と部下、同僚同士の間にあった“無意識の壁”を溶かしていくプロセスでもあるのです。
このように、LSP研修では単なるレゴのワークに留まらず、組織風土そのものを変える一歩として「褒め合い文化の定着」を促しています。それは、「もっとこのチームで頑張りたい」と自然に思える職場づくりに直結する、極めて実践的なアプローチ なのです。

【効果4】コミュニケーションの質が変わる
LSP研修では、「ただ会話する」から「対話が深まる」へと、コミュニケーションの“質”が確実に変化します。
通常の職場コミュニケーションは、業務報告や確認事項、指示命令といった“表面的なやり取り”に偏りがちです。ましてや初対面のメンバー同士となれば、雑談でさえ難しくなる場面もあるでしょう。
しかし、LSPではその枠を大きく超える体験が用意されています。
たとえば、ある研修では「現在の自分を表現してください」というお題が出されました。参加者は手元のブロックを使って、自分の“今”を形にします。完成した作品を前に、参加者が語るのは仕事の課題や希望、将来の不安といった“普段は語られない本音”です。
「このトゲのパーツは、最近の忙しさと焦りの象徴なんです」
「この橋は、他部署との連携をもっとスムーズにしたいという願いを込めました」
こうした語りに対して、他のメンバーは「どんな背景があるの?」「その選択にどんな意図が?」と質問を重ねていきます。LSPではこの「発問力(質問する力)」が非常に重視されており、研修内でも質問のポイントやコツについてレクチャーが行われます。
このプロセスを経ることで、参加者同士のやりとりが“受け答え”から“探究”へと進化していきます。
「相手の作品を見ながら質問することで、普段の会話より深く相手に興味を持てた」 「質問があることで、説明もより具体的になっていった」
また、当社ではLSPと併せて「コミュニケーションスタイル診断」や「性格タイプ別フィードバック法」といったプログラムを導入することも多く、相手の特性に応じた話し方・聴き方の理解が進みます。
「相手によって“褒め方”や“伝え方”を変えると、反応が全く違うことに気づいた」
「診断結果と照らし合わせてみると、なるほどと思える場面が多かった」
こうした実践的な気づきが、「職場での関係構築」「指導・育成のコミュニケーション」「チーム間の連携力」など、日常業務に直結するスキルとして持ち帰られるのです。
LSP研修は、コミュニケーションに“正解”を押しつけるのではなく、「考えを引き出し合う」スタイルへの変革を促します。これは、表層的な“話し方研修”では得られない、深い学びと実践力を伴うアプローチです。
【効果5】“つながり”が生まれ、“組織の空気”が変わる
クック・ビジネスラボが提供するLSP研修の効果は、個人の自己理解やチーム内の対話だけにとどまりません。部署や拠点、役職を越えた“人と人のつながり”を生み出し、それがやがて“組織の空気そのもの”を変えていく――これこそが、LSP研修の持つもう一つの大きな価値です。
多くの企業が抱える課題として、「組織横断のコミュニケーション不足」「他部署との連携の弱さ」「心理的距離の遠さ」が挙げられます。とくにコロナ以降、リモートワークの影響で“顔を合わせないままの関係性”が当たり前になり、部署間や世代間のつながりは一層希薄化しています。
そんな中、LSP研修では、まったく異なる部門・職種・年齢層のメンバーが一緒に作品を作り、語り合い、笑い合う時間を共有します。
「普段は画面越しにしか会わなかった人と、レゴを通じて初めてじっくり話ができた」
「別のエリアのメンバーとも共通の想いを語れたことで、“自分は組織の一部だ”と実感できた」
ある研修では、「北関東」「甲信越」という地理的に分断されていた組織のメンバーが、「“北甲”として一体になれた」と表現しています。このように、地理や組織構造の壁を超えた「横のつながり」は、従来の会議や飲み会では生まれにくい“感情ベースの共感”によって実現されています。
さらに、個人作品を合体してグループ作品を作る過程では、自然と役割分担や協働が生まれます。そのなかで「この人の視点、すごく面白い」「自分とは違う考え方だけど尊敬できる」といった感情が芽生え、やがて「またこの人と仕事したい」という想いに変わっていくのです。
このような“共創の体験”を通じて、「会社で働くことが少し楽しくなった」「組織に対して前向きな気持ちになった」という参加者の声も多く寄せられています。
「単なる“研修”ではなく、“関係構築の場”だった」
「LSPを通じて、空気が柔らかく、前向きになった気がする」
このように、LSPは単なるスキル研修ではなく、「組織文化に風を通す」装置としても機能します。特に人事・研修担当者の皆様にとって、「空気を変える一手」として導入する価値は非常に高いといえるでしょう。
成功するためのポイントと注意点
LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)は非常に効果的な研修手法ですが、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかの“設計と運営のコツ”が存在します。ここでは、数多くの研修現場を支援してきた私たちの経験から、成功するLSP研修のポイントと注意点を整理してご紹介します。

【ポイント1】テーマ設定は「組織の本音」に触れる内容で
LSPの魅力は、“個人の内面”や“チームの関係性”を可視化・言語化できることです。そのため、テーマ設定が浅いと、参加者の対話も表面的なものに留まってしまいます。
おすすめのテーマ例:
「理想のチームとは?」
「10年後の自分/組織の姿」
「自分が仕事で大切にしていること」
「いまの職場に感じている“モヤモヤ”」
これらはどれも、参加者の価値観や感情に触れる設問であり、自然と対話の質を深めることができます。
【ポイント2】導入時は“レゴへの不安”を丁寧に払拭する
特に初めての導入時には、「レゴなんて久しぶりで恥ずかしい」「私は不器用だから…」といった心理的ハードルを持つ参加者が一定数います。
そこで大切なのが、ウォーミングアップの設計です。
「タワーを作ってみる」「赤いパーツを使って連想ゲームをする」など、簡単なタスクから始めて、“手を動かすことに慣れる”時間をしっかり確保することが、全体の成功に直結します。
また、講師の語り口やファシリテーションのトーンも、「遊びじゃない」「思考の可視化なんだ」という研修の意義づけを明確に伝えることが求められます。
【ポイント3】ファシリテーターは“対話の質”を支える存在
LSPは「作品の発表→質問→対話の深まり」という流れで進行します。この中で、質問が浅かったり、対話が滞ったりすると、研修効果が半減してしまいます。
そのため、質の高いファシリテーションが不可欠です。理想は「1テーブル1名」ですが、難しい場合でも各グループに“対話を促す存在”を配置することで、場のエネルギーを高く保つことができます。
また、事前に参加者に「良い質問の例」や「対話の視点(背景、理想、違和感など)」を共有しておくと、発表と質疑のレベルがぐっと高まります。
【注意点1】研修を“一過性のイベント”に終わらせない
LSPは、その場での盛り上がりや学びが強烈な分、翌日以降に何も残らなければ意味が半減します。
そこで当社では、「行動計画シート」や「上司との1on1用ガイド」などを提供し、研修での気づきを現場で活かす仕組みを整えています。
「レゴで語った自分の想いを、上司に伝えるきっかけになった」
「研修後もチームで“あのときのレゴ”を共有言語にしている」
こうした継続的な活用こそが、LSPの本当の価値を生むのです。
【注意点2】期待しすぎず、“最初の一歩”として活用する
LSPは万能ではありません。「この研修でチームが劇的に変わる」と過度な期待をすると、逆に「そこまででもなかった」となりかねません。
むしろ、「普段は話せないことが少し言えた」「あの人の想いを初めて知った」といった、小さな変化を大切にし、それをきっかけに継続的な対話文化へと育てていく姿勢が大切です。
このように、LSPは使い方次第で、「個人の内省」と「チームの対話」を強力に促進するツールです。成功の鍵は、“丁寧な設計”と“現場へのつなぎ方”にあります。
どんな企業・課題にLSPはフィットするのか?
LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)は、あらゆる業種・業態の企業に導入できる汎用性の高い手法ですが、とくに強くフィットするのは「対話がカギとなる組織課題」に直面している現場です。
ここでは、実際の導入実績やご相談が多いパターンをもとに、LSPが力を発揮する典型的なシーンをご紹介します。
【シーン1】新入社員・内定者研修:チームビルディングの第一歩に
新入社員は、まだ社内に信頼関係や心理的安全性がない状態で組織に飛び込む存在です。LSPは、そんな初対面同士の緊張を一気にほぐし、自然な対話と相互理解を生み出します。
「レゴ作品を通じて、相手の価値観や考え方がわかりやすくなった」
「ただの自己紹介よりも、相互理解が深まった」
“この会社で頑張ろう”という気持ちを醸成する意味でも、内定者フォローや早期離職防止に有効です。
【シーン2】中堅~管理職層:理念やビジョンの“自分ごと化”に
中堅・管理職層向けの研修では、経営方針や中期戦略の浸透がテーマになることも多いですが、形式的な説明だけでは腹落ちせず、「自分の言葉で語れない」まま終わってしまうこともあります。
LSPは、「会社のビジョン」や「自部署の役割」など抽象的な概念を、自分自身の価値観や業務と結びつけて言語化するためのツールとして非常に有効です。
「組織の未来について、自分の役割を含めて初めて具体的に考えた」
「ビジョンを“自分の言葉”で語れるようになった」
【シーン3】組織横断プロジェクト:共通言語と一体感の創出に
新規事業、全社改革、部門横断プロジェクトなど、立場や考え方が異なるメンバーが集まる場では、まず「信頼関係づくり」や「目的の共有」が大きな課題となります。
LSPでは、個々の視点を“形”にして持ち寄り、共通のビジョンに統合していくプロセスを通じて、“多様性の融合”と“共創の文化”が育まれます。
「価値観も働き方も違うのに、“一緒に何かを作る”ことで一体感が生まれた」
「全員の意見が作品に反映されていて、納得感があった」
【シーン4】営業部門・フロントライン:連携力と信頼関係の強化に
営業組織では、個人目標の達成が重視される一方で、「連携不足」「情報共有の停滞」といった課題が起こりがちです。
LSPでは、営業担当者が「自分がどう価値提供を考えているか」「チームでの最適な連携とは何か」を作品として共有し合うことで、相互理解と協力のベースが築かれます。
また、「承認スキル」や「質問スキル」を重視したセッションは、クライアントとの関係構築にも応用可能です。
【シーン5】労働組合・全社イベント:エンゲージメントを高める場づくりに
組合主催の勉強会や全社員向けの交流イベントなどでは、「テーマが堅苦しいと人が集まらない」「形式的で記憶に残らない」といった課題もよく聞かれます。
LSPは、“楽しさ”と“深さ”を両立できる数少ないアプローチであり、「楽しかったのに、気づいたら深い対話をしていた」と好評をいただくケースが多くあります。
「こんなに人と話せた研修は初めてだった」
「普段の会話では出ない本音が、自然と出てきた」
実績企業例(※一部抜粋): トヨタグループ各社、ソニー、AWS、NTTデータ、理化学研究所、三井物産、みずほFG従業員組合、塩野義製薬労働組合 ほか
おわりに――LSPがもたらす「自分ごと化」と組織変革
ここまでご紹介してきたように、LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)は、ただの“面白い研修”にとどまりません。
それは、参加者一人ひとりの「内省」を促し、他者との「相互理解」を育み、チーム全体に「信頼とつながり」をもたらす――まさに “組織に対話と感情を取り戻す” ための装置です。
私たちがLSP研修を通じて一貫して目指しているのは、組織の一人ひとりが「自分の言葉で語れるようになる」こと。 自分の役割を、自分の価値観を、組織の未来を、“誰かの言葉”ではなく“自分の言葉”として語れるようになる――それが、 変化に強く、しなやかな組織をつくる第一歩 だからです。
LSPでは、誰もが作品をつくり、それについて語り、聴き合います。 そこに上司も部下もなく、正解も不正解もなく、ただ“その人らしさ”が語られ、共有されていきます。こうして、 「違いを楽しみ、共通点に気づき、目的に向かって協働できる関係性」 が育っていくのです。
「レゴを通じて、組織の空気が変わった」
「あの研修がきっかけで、本音を語れるようになった」
「チームの共通言語が生まれた」
――こうした声は、研修が“組織変革の入口”になった証です。
LSPは、企業が抱える課題に対して、「人の力で、変えていく」ための手段です。 「人材育成」「心理的安全性」「チームビルディング」「エンゲージメント」など、もし今、現場で手ごたえのある施策を模索されているなら、ぜひ一度、LSPという選択肢を検討してみてください。