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2023/10/09

パーパス経営とは?パーパスを浸透させる研修のポイント

企業の社会的な存在意義を定義する「パーパス(Purpose)」。

そのパーパスを事業活動全体に浸透させる考え方「パーパス経営」が、次世代の経営モデルとして注目を集めています。

企業のパーパスの基本的な考え方から、ビジョンやミッションとの違い、パーパス経営成功のポイントを解説。

さらにはレゴ®︎シリアスプレイ®︎を用いた革新的な研修まで、パーパスを浸透させるコツも解説します。

パーパス(purpose)とは何か?

「パーパス」という言葉は、英語で「目的」や「意義」といった意味を持っています。企業において、経営理念と同列で使用されるビジネスの文脈としては、パーパスはその組織が存在する深い理由やその本質を表すものとして注目されています。

従来、多くの企業は利益を追求することを最大の目的として活動していましたが、近年、企業に対する社会的な期待が高まっています。地球環境の問題、社会的な格差の増大といった資本主義の負の側面への対応が求められるようになり、多くの企業が単に利益を追求するだけではなく、より大きな社会的な役割や存在意義を持って事業活動を行う重要性が高まっています。 そのような背景があり、現代の組織は社会に対する価値提供やステークホルダーとの関係性を重視する中で、単なる利益追求を超えた存在意義、つまり「パーパス」を持つことが求められています。

ビジョンとの違い

たとえば、キリンホールディングスのパーパスは「地球上の生活を豊かにする社会課題の解決に取り組むことで社会と共に成長する」です。これは、企業活動の背景にある「存在理由」や「動機」を表しています。

一方で、ビジョンは未来の理想像や目指すべき姿を示すものです。2023年現在のキリンホールディングスのビジョンは2027年の目指す姿として「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」と公表されています。ビジョンはあくまで「目的地」であり、その背景にある「存在理由」や「動機」は示していません。

この事例からも分かる通り、企業におけるビジョンは組織が将来どのようになりたいか、どのような未来を追い求めているか、まさに「未来像」を示すものです。ビジョンの達成を目指して組織全体が動く指針となり、具現化するための戦略や行動をとることが期待されます。

ミッションとの違い

ビジョンが目指すべき姿、到達地点を表現しているのに対して、ミッションは企業が日々どのような業務や活動を行い、どのような価値を顧客やステークホルダーに提供するのかを表します。 前述と同じキリンホールディングスのミッションは「自然と人を見つめるものづくりで、 「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。」とされています。パーパスと比較すると、より具体的な「何を」「どのように」貢献するのかが表現されることが一般的です。

パーパスの企業事例

参考までに、日本の大企業でパーパスを明確に公表している会社を5社例示します。

・ソニー「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」 ・ライオン「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」 ・日産自動車「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」 ・NTT東日本「地域循環型社会の共創」 ・JT 「心の豊かさを、もっと。」

ちなみに弊社、株式会社クック・ビジネスラボのパーパスは「子供たちが将来にワクワクする社会を作る。そのために、いまワクワク働く大人を増やす。」です。

パーパスマネジメント・パーパス経営とは?

パーパスマネジメント、あるいはパーパス経営とは、企業や組織がその存在意義や社会的な役割、すなわち「パーパス」を中心に据え、その価値観を経営活動全体に浸透させる考え方を指します。

パーパスマネジメントを導入する効果

パーパスマネジメントの導入による内部的な効果としては、従業員が自らの仕事の意義を認識することで、モチベーション、コミットメントが高まります。また、組織統一した方向性を持つことで、業務の優先順位や意思決定が効率的になります。

外部的な効果として、企業の存在意義を顧客に認識してもらうことで、購買意欲が高まる、消費体験の満足度が上がることが期待されています。近年注目されているファンマーケティングにも繋がる経営手法と言えるでしょう。

パーパスを組織マネジメントに活用する際のポイント

パーパスマネジメントの最も重要な要点は、企業のステークホルダーである顧客、従業員、投資家がそのパーパスに共鳴し、共感してもらえるかどうかです。共感してもらうためには、ある程度具体的で明確な表現である必要があります。 また、一部のステークホルダーの利益だけでなく、広い意味で社会や環境にポジティブな影響をもたらすことを目指す方が共感を得やすい傾向があります。なぜなら、一方の利益は一方の損の裏返しだと捉えられるリスクがあるからです。 また、コミュニケーションも不可欠で、定期的に対象に対してパーパスを伝えること、パーパスに即した取組みを紹介することで、理解を深めてもらうことが重要です。

組織にパーパスの浸透を!

せっかくパーパスを策定したのに、従業員になかなか浸透していないという悩みをよく聞きます。 その背景を分析すると、パーパスが浸透しないのは大きく3つの原因があると考えられます。

パーパスが浸透しない3つの理由

パーパスが組織内で浸透しない主な理由としては、パーパス自体が不明瞭であること、実際の現場感覚とズレていること、そして、コミュニケーション不足の3つが上げられます。

パーパスを浸透させるコツ

パーパスを明瞭にする

分かりやすいキーワードを活用してできるだけシンプルに表現することが求められます。 例えば、上述したソニーのパーパス「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というのは非常に分かりやすい例です。 クリエイティビティ、テクノロジー、感動というキーワードを盛り込むことで、企業のキャラクターや社会における立ち位置を適格に表現しています。

現場感覚との乖離をなくす

そもそも、パーパス策定の段階で現場の従業員の認識を反映させる必要があります。パーパスは組織の存在意義ですから、組織を構成する従業員が自身の組織の存在意義をどのように認識しているかは無視できないポイントです。

コミュニケーションを活発に行う

認知がないものに共感することはありませんから、まずは認知を確立する必要があります。たとえば、社員研修や社内SNSなどを活用してパーパス自体の認知度を上げることが効果的です。 また、パーパスに即した行動を評価し注目させることも間接的にパーパスの理解に繋がります。例えば、社員表彰や社内報での成功事例の取材などで、パーパスをテーマにしたものを取り上げることで社員の認知度が向上します。

パーパス浸透研修とは

企業におけるパーパス浸透研修とは、組織の存在意義や使命(パーパス)を従業員に理解・共感させ、そのパーパスを日常業務に生かす行動や意識を促進するための研修プログラムです。 よくある研修、ワークショップの手法としては、以下のようなものがあります。

社史の振り返り:

企業の起源、歴史を学ぶことで、パーパスの背景を理解、腹落ちすることが期待できます。

ケーススタディ:

パーパスを体現する成功事例や失敗事例を学習することで、具体的な日々の行動との紐づけを促します。

ロールプレイ:

現在の部署や職階を離れてパーパスを体現する役割を演じることで、自分事として捉えることを促します。また、パーパスは従業員だけのものではなく、外部の顧客、社会というステークホルダーにも関連するものです。ロールプレイによって従業員以外のステークホルダーを演じることで、より俯瞰的な認識を持つことが可能です。

グループディスカッション:

グループでのディスカッションを通じて、従業員同士でパーパスのより深い認識と浸透に繋げます。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎を活用したパーパス浸透研修

レゴ®︎シリアスプレイ®︎は、レゴを通して潜在意識にアクセスし、内なる概念や思いを引き出す効果があります。 パーパス浸透研修においては、例えば企業のパーパスに対して、それぞれがどのように捉えているかをレゴ®︎シリアスプレイ®︎を通して引き出していきます。

参考: レゴ®シリアスプレイ®徹底ガイド、魅力、評判まとめ

パーパス研修にレゴ®︎シリアスプレイ®︎を活用するメリット

パーパス研修にレゴ®︎シリアスプレイ®︎を活用する一番のメリットは、参加者が、パーパスを自分事として捉えるようになることです。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎のパーパス浸透研修では、参加者がパーパスをテーマに直感的にくみ上げたレゴを基にして、内側にある深層心理や思いを言語化することが求められます。

この過程で、外部からの指示や情報を単に受け取るのではなく、自らの内面から感じたことや考えを言語化するため、そのプロセス自体が「自分事」としての深い思考を必要とします。

また、レゴを使って物語性やストーリーテリングの側面も強化されるため、自らの経験や背景、価値観をもとにパーパスに関連するストーリーやモデルを構築します。これにより、企業のパーパスが一般的なものから、個人の経験や価値観にリンクされた「自分の物語」として捉えられるようになります。

さらに、他の参加者からフィードバックを受け取ることで、パーパスを通して自分自身の存在意義を見出し、肯定することにも繋がります。

このように、レゴ®︎シリアスプレイ®︎の特徴はどうしても大きなテーマになりがちな企業のパーパスを「自分事」としてとらえ、自分の言葉で説明できるようにするには最適の研修・ワークショップと言えます。

レゴ社のパーパスとレゴ®︎シリアスプレイ®︎

『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』によると現CEO Niels B. Christiansen氏はレゴの存在意義を次のように語っています。 「レゴの存在意義とは、子供たちとその成長に貢献することである。すべては子供たちのための活動でなければならない」

レゴ®シリアスプレイ®は、レゴ社の社内から生まれたメソッドです。当初は、「自社商材(レゴ®)を用いて、経営戦略や経営改革を立案できないか?」という発想が起点でしたが、レゴ®の経営がよりよい方向に進むことが、パーパス実現に必要不可欠です。

先述した、弊社のパーパス「子供がワクワクする社会にを作る。そのために、いまワクワク働く大人を増やす」と重ねて見て頂くと、レゴ®シリアスプレイ®自体は大人向けの研修ですが、研修を通じてワクワク働く大人を増やすことが、子どもたちに好影響を与え、その成長に貢献する、と考えることが出来ます。みなさんもぜひ、レゴ®︎シリアスプレイ®︎で、組織のパーパスと自分自身の価値観を結びつけるワクワク体験をしてみてはいかがでしょうか。

レゴ®シリアスプレイ®を用いたパーパス研修 参加者の声

・開始前はレゴで一体何をするんだろうと不明瞭でしたが、始まってみると簡単なブロック選びから短時間での作品作りと多様なプログラムがありとても楽しかったです。自分の考えや他メンバーの普段知ることのできない面を見れて大変印象に残る時間でした。 (コンサル会社 20代女性)

・自分自身の「仕事のやりがい」を明確に言語化した他者へ伝える難しさとともに、フィードバックや質問をもらうことで自分の価値観を改めて認識しました。一方で、同じ目的を持って仕事をしている仲間でありながら、それぞれに「やりがい」は異なっており、多様性を感じるとともに視野を広げるいい機会となりました。 (製薬会社 30代男性)

・同じブロックや同じ色を選んでいても、人によって表現したい言葉や意味づけが全く異なっていました。自分の考えや価値観に固執することなく、相手の考えや価値観を引き出し、活かしていくことが重要だと感じました。 また、今回は考えがまとまってから手を動かすのではなく、手を動かしながら思考をし続けることで新たな考えが生まれたり、思考がまとまったりする感覚を学ぶことができました。自分では思いつかなかった質問に、即座に応答する訓練をする事で瞬発力や思考力も少し鍛えられた気がしています。 (企業従業員組合 30代男性)