2024/01/17
「チームビルディング研修を行う上での5つの問題点」
昨今、コロナ禍やリモートワークの増加により、職場内での直接的なコミュニケーション機会が減少し、チーム間の協力や情報共有が難しくなりました。このため、職場メンバー同士の関係を強化し、円滑なコミュニケーションを促進する必要が増しています。しかし、「うちの職場こそ、チームビルディング研修が必要だ!」と考えてもなかなか実現できないケースがままあります。
チームビルディング研修は、一種の潤滑油のようなものです。機械の歯車は、潤滑油がなくてもとりあえず動きます。ただし、動力が正しく伝わらなかったり、激しい摩耗が生じて耐久性が下がったり、最悪故障を招きます。組織においても潤滑油は必要ですが、その必要性や効果は気付き辛く、また遅れて気づくと取り返しがつかない傷を負っています。「必要だ!」と思ったときに、研修の予算や時間を確保して頂くために、実施に向けて弊害になる5つの問題点と解決策をご紹介します。
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必要性の理解が得られない問題
コミュニケーションに問題が生じている組織ほど、感度が低い
反対派ではなく、問題に気付けていない派
コミュニケーションの重要性を説明し、決裁者に理解を促すことは、チームビルディング研修の実施に必要不可欠なプロセスです。しかし、職場のコミュニケーションや人間関係に問題が生じている組織の上層部ほど、「ひと・組織にまつわる問題やリスク」への感度が低く、チームビルディング研修に懐疑的であったり、必要性を理解できていなかったりするケースが多々あります。また、参加者の中にも、研修開始前の段階では研修の目的や価値を理解できずにいる人が一定数いることがあります。これらの方々は、反対派ではなく、問題に気づけていない人たちであると認識することで対応策が見えてきます。
飲み会や懇親会は解決策にならない
そもそも、「効果的なチームビルディング研修を体験したことがある」という方はまだまだ少数派です。年齢が上がるほどに、「人間関係を深めるなら、とりあえず飲み会や懇親会!」という考えの方は未だに多数派だったりもします。もちろん、飲み会や懇親会も有効ですが、昨今はデメリットも増えています。例えば、一昔前よりも、なかなか定時後に時間が取れない共働き育児世代、飲み会を敬遠する若者世代は確実に増えています。欠席者を抱えつつ飲み会や懇親会を開催し、不参加者に疎外感を感じさせてしまうことは大きなデメリットです。また、本当にフラットな雰囲気の飲み会や懇親会ならばよいですが、一方的に盛り上がる、説教や武勇伝、自慢話に終始するといった場になってしまうと、言うまでもなくチームビルディングに逆効果です。
解決策
定量化する
上層部や決裁者の理解が得られない場合に、従業員満足度調査などで定量的にリスクを示すととともに、単純にコストメリットを試算して示すことがおすすめです。チームビルディング研修を行うことで、チームワークを高めて職場の生産性を1.1倍に出来た場合のコストメリットはいくらでしょうか?メンバーの離職を防止できた場合のコストメリットはいくらでしょうか?それぞれ、概算で金額を提示する効果をイメージしやすくなります。 また、飲み会や懇親会のメリット/デメリット、過去と現在の環境の違いを明確にすることではじめて、定時間内にチームビルディング研修を行う必要性について理解が得られることもあります。個人の想いや印象をぶつけるだけでなく、定量的なデータの活用がおすすめです。
先行事例や他社実績を共有する
さらに、仮に意見や見解に相違があった場合、他社実績や先行事例などを追加説明することで、納得感や安心感を与えることができます。研修参加者に対しては、研修の目的、重要性、期待される成果を研修冒頭でしっかり伝えつつ、可能であれば参加者からも課題感やニーズを拾い上げ、双方向コミュニケーションを行いながら、参加者の興味を引きます。ただ一方的に伝えるのではなく、自発性と共感を促すことで、参画を促し、研修の効果を最大限に引き出すことができます。研修に対して反発的な態度をとる方ほど、必要性が納得できたと単に180度態度が変わることも多々あります。
業務への直結が難しい問題
一見、効果がわかりづらい
研修=知識、スキル、ノウハウを教わる場である、という誤解
研修内容が業務に直結しないと、決裁者や参加者はその価値を見出しにくくなります。一般的に研修と言えば、「知識、スキル、ノウハウを教わる場である」と認識している企業も多いですし、研修講師の中にも「知識、スキル、ノウハウを教えればよい」と考え、一方的に話して終わりの講師が未だに一定数います。確かに、せっかく時間とお金を投じるならば「今日学んだことは明日から生かせそう」という“お持ち帰り感”が欲しいところです。
中長期視点での判断が問われる
チームビルディング研修は、目に見えない「人間関係」を扱うため、業務への直結が難しい部分があることは否めません。しかし、google社の研究にある通り、チームメンバーの関係性が成果や生産性に大きく依存することも証明されています。短期的な成果だけでなく、中長期目線で活動していくことが、営業活動などでも求められるように、研修においても業務に直結することばかりに執着せず、中長期視点でお金や時間を投資する決断力が問われます。
解決策(案)
心理的安全性の担保が生産性向上において必要可決であると論じたGoogle社の研究結果などを引用しながら説明するのも有効な手段です。しかし、もっと単純な問いで決裁者や参加者に必要性を訴えることも可能です。その問いとは、「あなたはメンバーの持ち味や強みをどれだけ言えますか?また、メンバーはあなたの持ち味や強みをどれだけ言葉にできますか?」という質問です。当然ですが、お互いの持ち味や強みをしっかりしていなければ、良いチームワークは生まれません。しかし、実際に具体的に言語化できるか、というとチームビルディングが必要な組織のメンバーほど、それができません。この問いに対する答えに窮したら、「Google社などうまくいっている企業ほど、業務に直結していなくても、組織やチームに必要なことに投資をしていますよ」と伝えてみましょう。
“楽しかった” だけで終わる問題
迎合するだけでは研修効果は生み出せない
過去の負のイメージの反動
過去、研修と言えば「つまらない、退屈、眠くなる」だけど、「我慢して受講する」というイメージが強くありました。これは研修限らず、学校の授業も一緒です。しかし、昨今ではフロー理論など「楽しくないと学習は捗らない」という考えや学説が有力となりました。確かに楽しければ興味関心が高まり、主体的・積極的な学習が生まれ、吸収や実践も捗ります。
楽しいほどに学習は深まる?
楽しい研修は参加者にとって魅力的であり、歓迎されるものです。キャンプなどのアウトドア体験やスポーツなどのアクティビティなど、就業時間内にそんな機会を与えられれば、多くの参加者から喜ばれるはずです。しかし、それに迎合しすぎて、「楽しかった」だけで研修が終わってしまうのも、お金や時間の投資対効果としてはどうでしょうか?業務から離れて新たな発想を手に入れるなどの効果はあるでしょうが、意図的に参加者が持ち帰るべき何かを研修プログラムに織り込んでおかなければ、研修の効果は限定的となります。
解決策
アクティビティ系の研修は楽しいものの、学びを引き出すのが難しい部分があります。そのため、“楽しかった”で終わらせないためには、多少のレクチャーも必要です。参加者の業務やプロジェクトを理解したうえで、仕事に生かせる知識やノウハウをうまく散りばめ、夢中になりながら自然と学び、そして実践する研修を目指してプログラムを設計しましょう。また、参加者が内面的な洞察を得るために、研修内でのディスカッションや体験を意味付ける振り返りの機会を設けることは必須です。そのため、パッケージ売りの研修よりも自組織にあったカスタムメイドの研修を提供してくれる研修会社を選ぶことも大切です。
参加者のコミュニケーション力が低すぎる問題
コミュニケーションにもスキルが必要
参加者のスキル前提に合わせないと失敗する
これは見過ごされがちな問題の一つですが、参加者のコミュニケーション力が低い場合、ただ単にチームビルディング研修を実施しても、目的や効果を生み出すことが困難な場面があります。具体的には、グループディスカッションや会話といった相互交流が全く生まれず、ただ沈黙の時間を過ごしてしまう、といった状況です。
営業部隊でも深堀質問に苦戦
この問題に対処するために、コミュニケーションスキルのレクチャーや細かいステップを刻んで自然と自己開示や会話が生まれていくプログラムを準備する必要があります。「うちは営業部隊だから、そのあたりの対人コミュニケーションは大丈夫!」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、仮に表面的なコミュニケーションがうまかったとしても、「深堀質問」ができずに相手の真意や潜在ニーズを掴み切れない、気づきや発見を促すことができないケースも多々あります。また、「傾聴」ができずに一方的に話してばかりになってしまう、といったケースもあります。そのため、ただ、とにかく時間を設けて、集まって、「さぁコミュニケーションしましょう!」と雑に研修やワークショップを運営しても、うまくいかないケースが発生します。
解決策
参加者のコミュニケーション力が低い場合、チームビルディング研修にコミュニケーションスキルのトレーニングを組み込みます。端的なスキル紹介を行ったうえで、遊び感覚のメンバー交流を通じて、スキルの実践(ロールプレイングやグループディスカッション)を行い、振り返りや相互フィードバックセッションなどで学習効果を高めていきます。実践演習の中で、参加者同士が連携し合い、協力する機会を増やすことで、自然な形でコミュニケーション力が向上するとともに、チームビルディングも行い、一石二鳥を狙うことができます。
安心安全の場づくりができない問題
「さぁ自由に議論してください」と言っても、誰も意見は言えない
細やかな積み重ねを怠ると、場づくりはできない
心理的安全性を確保できない場合、参加者は自分の意見や感情を表現するのをためらいます。特に、本当にチームビルディング研修が必要な組織ほど、心理的安全性が損なわれているケースが多く、研修の中でも安心安全の場づくりに苦労する場面が多発します。しかし、研修担当者にとって、時には言い憚られるような職場の課題・問題点なども存在し、それを十分に共有せぬまま研修講師がプログラムを設計すると、チームの軋轢が増す事態も招きかねません。また、職場状況を無視した参加メンバーの決定や座席やグループの割り振りなども問題の一因になります。管理職はグループに散らばった方がいいのか、管理職だけでグループを組んだ方がいいのか、管理職のグループはどこに座るとよいのか、細やかな配慮ひとつでもかけると、自由な意見や議論を妨げてしまうことがあります。
解決策
心理的安全性を確保するために、研修講師(社外の人間)が参加者間の尊重と信頼を促進する役割を果たすとよいでしょう。どんな状況でも、いかに早く、安心・安心の場づくりを行えるかは、プロの研修講師・ファシリテーターの腕の見せ所の一つです。オープンで率直なフィードバックを交わせる雰囲気を育み、誤解や対立を積極的に解決するためのツールやプロセスを提供します。さらに、参加者が自分の意見や感情を安心して表現できる環境を作り出すために、研修講師やファシリテーターは研修冒頭にグランドルールを設け、全員にそれを徹底させます。 また、研修講師は、研修企画段階で研修担当者の方から、時には話しづらい社内の職場状況・課題・問題点などディープな情報も聞き出せるヒアリングスキルや関係構築ノウハウを有している必要があります。「ただ、人前で話すのがうまい」だけでは、よりよい研修を企画・運営できない点で、信頼のおける講師や研修会社を選ぶことも大事な要素と言えます。
チームビルディング研修をご検討なら、当社にご相談ください
チームビルディング研修のニーズは年々上昇
業務効率化や生産性向上、働き方改革推進に向けて、チームメンバーがお互いを理解し、信頼し合うことで、チームの結束力を高め、協力関係を高めようという意識も高まっています。また、チームメンバーが組織のビジョンや目標を理解し、それぞれに自分の言葉で語れることが必要です。チームビルディング研修は、相互理解を深め、結束力を強化し、ビジョンや目標を理解・浸透させる手段として役立ちます。
そして、チームビルディングは、参加者に新しいアイデアを出し合い、問題解決能力を高める機会を提供します。創造性とイノベーションは、競争の激しいビジネス環境での成功に不可欠です。時には、チームビルディング研修のなかで、楽しい体験と協力の機会を提供し、メンバーの気分転換やストレスの軽減にも寄与します。ストレスが軽減された職場環境では、生産性が向上し、従業員の幸福感も高まります。
多くの研修実績と経営コンサルタントの視点
チームビルディング研修を実施する上では、上記に挙げた様々な問題点が生まれます。一つ一つの問題を丁寧に解決した先に、効果的なチームビルディング研修の実現が待っています。当社では、多岐にわたる業種業界、参加者属性に対応してきた実績や知見を活かし、皆様の個別ニーズに合わせた研修プログラムのご提案や研修運営を行っています。また、経営コンサルタントとして、経営理念策定、事業計画立案、組織開発などにも携わっており、皆様のお悩みや問題にも多様観点からアプローチして、研修設計に取り組みます。
NASAでも採用されたレゴ®シリアスプレイ®メソッド
レゴ®シリアスプレイ®メソッドはNASAでも採用実績のある学習理論に裏打ちされた研修手法です。このメソッドに当社独自のコンテンツ(発問やフィードバック、プレゼン、目標設定)を掛け合わせ、楽しくも学びの溢れる研修機会をご提供します。「過去最高の研修」と大手企業各社から絶賛されている研修プログラムをぜひ一度お試しください。
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