2024/07/27
「本当に、若手社員は職場の飲み会が嫌いなのか?」~研修講師から見たZ世代とのコミュニケーション~
Z世代は、大まかに1990年代半ばから2010年代初頭にかけて生まれた世代を指します。この世代はデジタルネイティブとして育ち、SNSやスマホが生活の一部となっています。Z世代はその前のミレニアル世代と比較しても、より技術に精通しており、情報へのアクセス方法やコミュニケーションのスタイルが大きく異なります。さらにそこから、学生時代をコロナ禍で過ごし、アルバイト経験などで社会と接点を持つ機会が少なかったZ‘(ゼットダッシュ)世代が生まれました。当記事ではZ世代、Z’世代を中心とした、若手社員とのコミュニケーションに関する研修講師視点での解説やアドバイスを記載します。
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最近の若者(Z世代)はスゴイ??
いつの時代も若者は批判の対象
誰しも、「最近の若者は・・・」と言いながら、若者たちを批判・非難する意見や主張を聞いたことがあるでしょう。もしかしたら、ついついご自身もうっかり使っている、という方もいらっしゃるかもしれません。この手の批判や非難はなんと、約5000年前のエジプトでピラミッド建設に携った人々ですら行っていて、ピラミッドの天井裏などにこっそり「近頃の若者は」と書き込んでいたそうです。古代ギリシア哲学者プラトンも「最近の若者は 目上の者を尊敬せず 親に反抗 法律は無視 妄想にふけって 道徳心のかけらもない このままだとどうなる?」と若者の立ち振る舞いを嘆き、平安時代に清少納言も若者言葉について苦言を呈しています。 いつの時代も、年長者が「最近の若者は・・・」と嘆き、「自分たちの時代は〇〇だったのに!」と過去を美化したり、自己肯定したり、時には棚に上げたりしているのが実際です。
Z世代の功績
一方で偉大な功績を挙げている若者たちもいます。例えば、大谷翔平さんをはじめとした野球選手、久保建英さんをはじめとしたサッカー選手、いずれも米国や欧州で大活躍し、過去の世代の常識を覆しています。スポーツ以外にも、将棋の藤井聡太さんといった方を思い浮かべる人も多いでしょう。ついつい悪い方ばかりに目が向いてしまいがちですが、Z世代には過去の世代の常識を遥かに上回る、目を見張る大きな功績を残している若者も多く存在します。
Z世代の一般的な特徴
そんなZ世代ですが、下記のような特徴が挙げられます。
デジタルネイティブ
Z世代は生まれた時からデジタル技術が存在する環境にいたため、スマートフォンやインターネットを自然に使いこなします。この技術への自然な親和性は、彼らが情報を収集し、コミュニケーションを取る方法に大きな影響を与えています。
####多様性への高い受容性 Z世代は人種、性別、性的指向など、さまざまな多様性を受け入れる傾向があります。彼らは包容力が高く、個人のアイデンティティや自己表現を重要視します。
ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアはZ世代の日常生活に欠かせないものであり、情報の共有、人との繋がりの構築、自己表現の場として活用されています。彼らはソーシャルメディアを通じて世界と繋がり、影響力を持つことができます。
意識の高さ
環境問題や社会正義など、さまざまなグローバルな問題に対して意識が高く、積極的に声を上げ、行動することに価値を見出しています。彼らはブランドや企業が持続可能で倫理的な姿勢を取ることを重要視します。
自己実現への強い願望
Z世代は自分の情熱や興味を追求し、自己実現を目指すことを重要視しています。彼らは伝統的なキャリアパスにとらわれず、自分にとって意味のある仕事や活動に時間を費やしたいと考えています。
これらの特徴は、Z世代が社会や職場でどのように振る舞い、どのような価値観を持っているかを理解する上で重要です。Z世代に対するアプローチを考える際には、これらの特性を考慮に入れることが必要となります。
コロナ禍で育った、Z‘(ゼットダッシュ)世代
通説を覆す、「上司と飲みに行きたい新入社員」
「最近の若手社員は職場の飲み会に消極的である」というニュースを見たり、記事を読んだりしたことがある人も多いと思います。確かに、業務時間外はプライベートを大切にしたい、という若者は多くなっていると感じます。一方で、私が研修講師として2024年の新入社員研修で多くの方々と接し、研修会場で「上司と飲みに行ってみたい人はどれくらいいますか?」と聞くと、どの会場でも6-7割の方が手を挙げました。サンプル数として千人以下ですが、業種業界は様々となっており、意外な結果だと感じませんか? 実際に、この様子を見た各企業の人事部の方は、「まさか、こんなに?」と驚いた顔をするケースが様々です。
Z'(ゼットダッシュ)世代が、上司と飲みに行きたい理由
「上司と飲みに行ってみたい」という方々の話を個別に聞いてみると、以下のような回答が多くありました。
「コロナ禍で、学生時代ほとんど飲み会に参加したことがなかった」
大卒以上の方々は、外出自粛やオンライン授業などで、友人同士で飲み会機会もほとんど得られず、飲み会という“大人”のイベント自体に憧れを抱いている層が一定数存在するようです。
「上司にいいお店に連れて行ってもらいたい、ご馳走してもらいたい」
学生時代は行かなかった(行けなかった)ような、高級なお店、グルメなお店、雰囲気のよいお店に連れて行ってほしい、ご馳走してもらう経験をしてみたい、という声もありました。確かに、私も当時の上司にお洒落なBarに連れて行っていただいたり、個人経営の美味しいい小料理屋に連れて行っていただいたりして、知見を広げていった記憶があります。
「そもそも、上司と飲みに行くのがイヤじゃない」
最後にご紹介する、こういった意見も意外と多いものです。「最近の若者は、みんな会社の飲み会が嫌い」と思い込んでいるとあながちそうではない、という場合もあります。我々はついつい一括りにグルーピングし、決めつけたがりますが、「最近の若者」といっても、彼ら彼女らも多種多様で人によって考えや価値観は異なります。
「最近の若者」と一括りにせず、個々人とコミュニケーションを!
若手社員一人一人と向き合う
思い込みで、「きっと飲み会は嫌いだろう」と決めつけずに、個々の若手社員の意見や考えを理解しようと接してみると、もしかしたら意外な発見があるかもしれません。飲み会に限らず、相手に興味関心を持ち、自分の価値観や思い込みを捨てて、耳を傾けてみることが大切です。若手社員一人ひとりの価値観やニーズを尊重し、対話を重ねると意外な発見があるかもしれません。
管理職のコミュニケーションスキルの研鑽
しかしながら、管理職の方々の中には、コミュニケーションに苦手意識を持っている方や、コミュニケーションスキルに課題感を持っている方もいらっしゃいます。この問題が、世代間のギャップや職場内の誤解を招く要因となっていることもあります。 耳の痛い話ですが、若者が価値観をとやかく言うよりも、管理職のコミュニケーションスキルを向上させることが、若手社員との健全な関係構築の近道になります。弊社では、LEGO® SERIOUS PLAY®メソッドを用いたコミュニケーションスキルアップ研修や、反転授業形式のオンライン動画学習を取り入れたコーチング研修など、大手企業様を中心に様々な取り組みを提供しています。 完全カスタマイズ対応にて行っていますので、ぜひお気軽にZoom打ち合わせにてご相談ください。
お酒を飲みながらもできる!アクティブ型のコミュニケーション研修
レゴ®シリアスプレイ®メソッドとは
レゴ®シリアスプレイ®研修は、レゴ®社とMIT(マサチューセッツ工科大学)やシカゴ大学の教育心理学チームの共同研究により誕生した画期的な研修メソッドです。詳細は別記事(レゴ®シリアスプレイ®徹底ガイド、魅力、評判まとめ)をご参照頂きたいのですが、参加者にレゴ®ブロックを使って、“遊び感覚”で自分の考えやビジョンを言語化し、参加者間で共有し合うことが出来ます。その結果、「労働組合の必要性/意義」「今後のビジョンやアクション」といった、大切だけれどなかなかとっつきにくい、直球ど真ん中ストレートの議論であっても、参加者が主体となり、楽しく盛り上げることが出来ます。また、参加者は自分たちが目指すべき組織の姿や、そのために必要な行動を深く考えるきっかけを得ることができます。実際に、NASA(アメリカ航空宇宙局)をはじめとした、一流企業・組織がグローバルで採用している実績からも高い研修効果が裏付けられています。
お酒を飲みながら開催した事例
2019年7月24日(水)、MONET コンソーシアムにおいてMaaS事業開発を推進する場である3UP プログラムの一環として、第2回 Meet UP:「LEGO® SERIOUS PLAY® x MaaS 言葉にならない想いをカタチにしよう」を開催しました((詳細)。当イベントでは、コンソーシアム参画企業30社の方にお集まりいただき、お酒を軽く飲みながらワークショップに参加頂きました。参加者は各企業の若手一般社員の方から執行役員の方まで、多様なバックグラウンドの方々となりましたが、ただお酒を飲みながら交流するのではなく、レゴ®シリアスプレイ®を行うことで、自然とコミュニケーションが活性化され、大盛り上がりとなりました。
結論
若手社員と上司との間のコミュニケーションは、多くの場合、互いの誤解や先入観に基づいています。若手社員の真のニーズを理解し、管理職が効果的にコミュニケーションを取るためには、コミュニケーションスキルの向上が必須です。職場の飲み会を含め、すべての社内活動において、世代間の橋渡しをするための努力が求められます。時にはアクティビティ型のワークショップなどを取り入れ、コミュニケーションスキルを高めつつ、世代を超えた相互交流を図ってみるのはいかがでしょうか?